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2013-05-07

「歴史の目」意識しての改正こそ

本日付産経新聞「正論『国民の憲法』考」に、文芸評論家新保祐司氏の『「歴史の目」意識しての改正こそ』と題した秀逸な論考が掲載されていたので、その論旨に付随した見解を述べてみたいと思う。

新保氏は、国立公文書館で開催された「近代国家日本の登場-公文書にみる明治」を見に行かれた時、「特に大日本帝国憲法の前でしばらく佇んで」、次の様な感想を述べておられた。

「歴史的な文書を見ているというよりも、逆に歴史の方から見られているような強い感じに襲われた。それに比べて、会場の外に、所蔵文書の一つとして展示されていた現行憲法からは、そのような歴史の持っている重みのようなものはほとんど感じられなかった。『明治の精神』が自力でつくりあげた気迫の憲法と『配給された』憲法との違いというものを目に見える形で実感したことであった。
憲法改正にあたって何よりも必要なのは、日本の歴史から見られているという意識の下で、改正作業を進めることであろう。」

全く同感である。

更に現行憲法96条改正にあたっては、「ますますこの歴史感覚は重要になるのである。」という指摘は、現今の「歴史感覚」が不足気味の改正論議に、鋭く問題提起していると言えよう。
まさに「発議する国会議員と国民投票をする国民には、日本の歴史に見られているという歴史感覚を身につけていることが、絶対に必要になってくる」のである。ならば、戦後教育によって、どっぷり戦後民主主義の価値観に染まった国民(人民・大衆)が多数の今日においては、遠回りだが、まず戦後の価値観を問い直し、『歴史感覚』を取り戻す思想的かつ教育的な作業が、憲法論議の中で、あるいはそれと並行して行われる必要があろう。

一方新保氏は、「今日の日本の政治状況の中で憲法を改正するとなれば、『3分の2以上』というのが現実的ではないのは間違いなく、『過半数』にハードルを下げるのは当然であろう」とのべるが、厳密にいえば、現行憲法96条改正より、まずは出席議員の『過半数』による現行憲法『無効』確認(大日本帝国憲法現存確認)の方がより『歴史感覚』に立脚した手続きと言えると思うが如何であろうか。

また新保氏は、民俗学者柳田国男の言説を引用しつつ、次の様な見解を述べる。
「『2分の1+1』の住民が、単に今日的『利益』の必要や現代的価値観によって、改正してはならない。何故なら『我々は既に土に帰したる数千億万人の同胞』の歴史に規制されているからである。」

このことは、『歴史感覚』なき民による『2分の1+1(過半数)』への現行憲法96条改正への警鐘と批判、つまり現今の「改正論」批判にもなっている。

またこの指摘は、現行憲法無効確認宣言を選択するにあっても留意すべき点であると筆者は考える。なぜなら現行憲法の無効(あるいは廃棄)は、大日本帝国憲法復元改正へと結び付かなければ、「歴史感覚」の回復にならないと思うからである。
さらに、仮に帝国憲法を復元したとしても、帝国憲法の正当な評価を、ある程度国民の共通の認識にする必要がある。そのためには、帝国憲法を復元して、国民教育を施す必要がある。
それがもし性急な印象を受けるのであれば、現行憲法を、現存する帝国憲法(正統憲法、歴史・伝統・国体)に基づき、保守的解釈で運用し、その事実を積み重ねるべきであろう。その上でわが国の憲法・国体を『発見』し、国民共通の価値観とすべきであろう。

筆者が、本稿で最も注目する指摘は、新保氏が「五箇条の御誓文を思わす前文を」と提起していることである。

「改正憲法の前文では、五箇条の御誓文と大日本帝国憲法に言及する一方、現行憲法には敢えて触れず、改正憲法が明治維新(これはまた神武創業の想起であった)以来の歴史の王道に基づいて示すべきである。」
そうであれば尚更、現行憲法無効確認・大日本帝国憲法復元改正こそが『憲法改正の王道』と言えるでのではないか。
付言すれば、五箇条の御誓文も、大日本帝国憲法も、明治天皇が、皇祖皇宗に誓う儀式を踏まえ、発布されたものである。もし帝国憲法復元改正でなく、新憲法を成立させるのであれば、天皇陛下による祭祀に立脚した『告文』『上諭』を載せる形式を採るべきであろう。そうすることで、『祭祀の国・天皇国日本』に相応しい「格調」高い憲法となるといえるのではないだろうか。

柴田
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