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2014-03-22

卒業式には「仰げば尊し」を歌いましょう。


 3月21日付けの産経新聞の正論欄に、文芸評論家新保祐司氏の「明治の心で蘇った『仰げば尊し』」という題名の秀逸な論稿が載っていました。
(http://sankei.jp.msn.com/life/news/140321/trd14032103400001-n1.htm)
今年の2月に『仰げば尊しのすべて』というCDが発売されたそうで、その解説書の執筆者の御一人である皇学館高校教諭の田中克己氏によると、「卒業式には、現在では全国的にみると小学校で11・1%、中学校で25・4%しか歌われていない。音楽教科書には、掲載率は100%に近いのだが、本来3番まである唱歌なのに『互(たがい)に睦(むつみ)し』から始まる2番の歌詞が削除されている教科書が、昭和50年代から加速度的に増え、最近では100%に近い」ということだそうです。特に2番の歌詞が省略される理由ついて、田中氏は「各発行者から『立身出世と解釈できる場合があり時勢にそぐわないとのご意見が教育現場を中心に数多くよせられた』といった回答を得た」と指摘されておられるそうです。
 明治の文人斎藤緑雨の言葉の通り、「教育の普及は浮薄の普及なり」を実践しているのが、戦後教育の在り様なのでしょう。
 「立身出世」を図ることを一概に否定することはありません。そもそも「志」や「夢」を抱いて「公」に尽し「身を立て名をあげ 励む」ことは正当に評価されるべきことです。
『仰げば尊し』を否定した日教組の戦後教育は、「平等」の名のもとに、仰ぐべき尊き師の存在を否定し教師は「労働者」と化してしまいましたし、「国家」を否定した結果、己の利益を優先する人間を数多く育てることになってしまいました。こうした風潮に対して反省が迫られていると思います。
さらに新保氏は、『仰げば尊し』の2番は、表面的な「立身出世」の掛け声でなく、『やよ』という言葉の奥に込められた明治日本の『うらわかきかなしき力』からの声であると指摘され、「近代日本の『うらわかきかなしき力』の歴史を思い出すためにも、また改正教育基本法にある我国の文化と伝統の尊重のためにも、この唱歌は歌い継がれなければならないであろう」と結語されておられます。その通りだと思います。
現代の卒業ソングも悪くはないのでしょうが、日本人として世代を超えた共有感覚や先人の方々の想いを継承するためにも、学校の卒業式には堂々と『仰げば尊し』を歌いたいものです。最後に「仰げば尊し」の詩と合唱をご紹介しておきます。

〔仰げば尊し〕
 詞
1. 仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば
2. 互(たがい)に睦(むつみ)し 日ごろの恩
別(わか)るる後(のち)にも やよ 忘るな
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば
3. 朝夕 馴(な)れにし 学びの窓
蛍の灯火(ともしび) 積む白雪(しらゆき)
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば

・東京ソフィア合唱団 『仰げば尊し』
http://www.youtube.com/watch?v=2nRWdXcT7g0
・福島県郡山市立郡山第二中学校卒業式  『仰げば尊し』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20231569

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黎明(れいめい)教育者連盟は皇室を敬い、伝統文化を守り、戦後の誤れる教育を正し、­日本の再興を子供の教育から目指す教育団体です。
小学生向けの「寺子屋」や、親子参加型の「親子寺子屋」「乳幼児寺子屋」などを中心に、絵画­教室、書道教室、礼法教室、着物教室、歴史講座、古事記勉強会、童謡・唱歌わらべ歌の­­­会、子育て相談などを運営しています。現代の興廃した教育環境の中で、自分の子供­にはどんな教育をしたらいいか、お悩みではありませんか。日本人として誇りの持てる人­生­を­お子様には歩んでほしいものです。どなたでも参加出来ます。ぜひお気軽にお問­い合わせ下さい。
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